スペシャライズドRETUL FITをインプレ、本当に受けるべきなのか真剣レビュー。
【目次】
- SpecializedのRETUL FITとは
- ポジションはどう変わったのか
- RETUL FITで一体何を得られたかというのか
- RETUL FIT後初のロングライドでどう変わったのか実証
- まとめとしてはフィッティングは重要
- 後日送られてくるRETUL FITレポートの一部をご紹介。
SpecializedのRETUL FITとは
Specializedが行うフィッティングサービスであり、計測用の様々な専用機器を使い
自転車を自分の体に合わせることを目的としたフィッティングサービスである。
様々なフィッティングを行っている企業があるが
その中でもSpecializedのRETUL FITは自分の体を主軸に置いているところが一番の違いだ。
元からいろいろ体の悩みもあるのでぴったりだと思い今回はスペシャライズド新宿でフィッティングを行った
結論:結局受けてどうなったのか
RETUL FITを受けて得られたメリットを先に書きます。
フィッティングを受ける前はポジションを出すことにお金を出すというイメージでしたが
今は体験しながら学べるフィッティング講座を受けた気分で想像の数倍色々なことを得られました。
- ポジション出しの方法と技術と正しいポジションを知れた(超重要!
- クリート変更で特殊な私の膝が原因の違和感が一気に解消
- 今まで130キロのロングライドも全部スプリントしていたことが発覚
- 楽にロングライドを行えるようになりました。
- ケイデンスが高くなったので足の筋肉を使わず体力を使って漕げるようになった
- 2万円のサドルの1/3も使いこなせてなかったのが使いこなせるようになった
- インソール変更で靴の剛性、こんなあったのかと感動
フィッティング直後の雑な感想はここに書きなぐっております
スペシャライズドフィッティング受けたら全て変わりました
— ロレンス@Spice&Wolf (@rorensu2236) 2019年6月8日
変更点
サドルは大きく後ろに3cmも後退
サドル高も上がり
ハンドルスペーサーも取り除いて
右ペダルだけQファクター拡張ワッシャー追加
私の膝が超レアな形らしく、青クリートだと痛めるので黄色に変更
インソールもアーチに合わせ変更 pic.twitter.com/fgaXiZROH7
Y'sロードの店員にSpecializedを推薦していただいた
Y'sロードは料金プランも豊富で、手ごろな料金から、本格的なプランまで様々。 フレームを買ったのもY'sなのでバイオレーサーを検討していました
実際仲の良いY'sロードの店員さんにフィッティングY'sロードのフィッティングってどう思いますと聞いたところ
「特に悩みはなく、レースや大会でいい結果を純粋に出すために必要なポジションを出すのであれば最適かもしれませんが、乗り心地や、今痛みや悩みがあるならY'sロードはお勧めしないですね、Specializedがいいと思いますよ」
と自社サービスをバッサリ切っていただいた上に、Specializedを推薦していただいた。
山口さん(仮名)ほんといつも本音でありがとうございます、消耗品買って帰ります。
RETUL Fit の内容
RETUL Fitは当日行うもの、後日のフォローの2つに分かれている。
【当日行うもの】
- インタビューでどのように今年一年楽しみたいかをフィッターと計画
- 身体アセスメント(身体の調査)
- ロードバイクへフィッティング
- センサーを沢山つけてペダリング解析と微調整(ペダリング指導あり
- 完成したポジションを使いこなすための乗り方講座
- フィッティング質問タイム(色々聞きました)
【後日のフォロー】
- PDF16枚にも及ぶフィッティングレポート
- 3週間後フォローアップフィットで再度微修正
料金は3万円のコース1つだけ
また料金は3万円のコースのみでほかのフィッティングコースは存在しない
それは安いフィッティングコースを作って設定したところで
必要な工程すべてを行わないと誤差が生まれてしまうから。
特に体の柔軟性、骨格、筋肉量などの状態を見る身体アセスメントが重要とのことです。
身体アセスメントをしない、安いフィッティングだと何がダメ?
全身の体の柔軟性、骨格、筋肉量の測定、身体アセスメントを行わずに設定したポジションは
基本的には、あなたと同じくらいの体をした人の平均値の統計データを使い、 それをあなたの自転車に落とし込んだだけであって、あなたのためのポジションはでない。
具体的にあなたのためのポジション、つまり最適なポジションを出すには以下の要素も検討する必要がある。
- 今までの怪我歴を考慮したポジション
- 体の柔軟性と可動域と動きの癖
- 骨格による、使用可能なパーツの制限
- 筋肉量と骨強度に起因する体の痛み(主に膝や腰
このようなものを考慮できていないと結局以下のような
- 数値上ポジションは完璧なはずなのに、なぜかやっぱり膝が痛くなる
- 身長と足の長さ的には165mmクランクと言われたが合わない(実は体が柔らかいから167.5
- フィッティングしたら過去の腰の捻挫をかばうポジションだったのが崩れて腰が痛くなった
問題が再発する。
実際私の体を見てもらった結果、特殊な体だった。
実際、私の体を見てもらって統計データからは絶対に導き出せない変更点があった。
- 膝の形状が特殊なので青クリートだとポジションが出ないので黄色クリートに変更
- 大腿四頭筋の筋力が強すぎて骨格が筋肉量に耐えられずひざに痛みが出る。
- 右膝だけ外側に曲がる傾向があるので1.5mmワッシャーで調節。
いつも左足はクリート調整でバッチリ決まるのに右足だけなぜか決まらないのはそもそも骨格に原因があったようです。 納得。
3万円も出す価値が本当にあるのか?
私の場合は2年間間違ったポジションで乗っていたので
本来鍛えるべき筋肉が鍛えられない状態で2年を過ごしました。。。
フィッティングを行い、正しいポジションを出したうえで
そのポジションにおける正しい漕ぎ方、筋肉の使い方のレクチャーもあります。
※これ修得できるまでずっとローラー回させられます(笑)
乗りたい乗り方に合ったポジションと筋肉を使い乗ることで正しい方向に成長します。
ヒルクライム早くなりたいのに無駄な筋肉をつけて体重が増えてしまっては本末転倒です。
正しい方向に、正しく成長することができるのもメリットです。
レース志向じゃない人にも3万円を出す価値があるのか
自分はそんなレースとか筋肉とか興味ないしという方もいると思います
「自分はまったり、楽に乗れればそれでいいし、速度なんてそんなに気にしてないから・・・・」
まったり乗るのも最高ですよね、私もそっちのほうが好きです。
ただ、まったり乗ってる中でも悩みは出てくると思います。
例:お尻が痛い、手が痛い、足が疲れる。
そうなったときにネットの記事を読み
「そうだパーツ変えれば改善できる」
という考えに至るのは必然でしょう。
しかし、パーツを変更するのは部分最適であって、全体最適ではないので、必ず別の場所に問題出てきます
そして、買ったけど無駄になってしまうこのようなパーツたちが生まれます。
- 柔らかいサドル(3個)
- 柔らかいカーボンシートポスト
- 柔らかいカーボンハンドル
- あってないクランク長のクランク
- 軸長が間違ったペダル
それを回避できると考えれば3万円は安いという考え方もありですね。
因みにこれすべて実体験です、ほんと無駄な試行錯誤に10万使う前にフィッティング受けましょう。
ポジションはどう変わったのか
皆さんが一番気になっているのはここかもしれないが、私が伝えたい感動はここにはない。
これは自転車の設定が変わっただけである。
このポジションを出すために3万払うという認識はけた違いに間違っている。
- サドルは大きく後ろに3cmも後退
- サドル高も上がり
- ハンドルスペーサーも1cm分取り除いて
- 右ペダルだけQファクター拡張のためのワッシャー追加
- ワッシャーだけで対応できずクリートを一番外側まで広げ
- 私の膝が超レアな形らしく、青クリートだと痛めるので黄色に変更
- インソールもアーチに合わせ変更
RETUL FITで一体何を得られたかというのか
フィッティングを3万円かけて、パーツの位置調整をするものだと認識しているなら是非読んでほしい。 ポジション、パーツの位置調整が変わったのは確かだが私が今受けている印象はそれじゃない。
【RETUL FITで私が得られたもの】
- 適切なフィッティング方法と調整のためのロジック
- 正しいロードバイクの乗車姿勢
- ペダリングと乗り方指導
- 自分の癖と封印しないといけない癖
- ネットのフィッティング記事は部分最適であり、全体最適ではないということ
適切なフィッティング方法と調整のためのロジック
今までやっていたフィッティングは、最速で走るためのポジション出しであって 様々な状況下、複数の姿勢をとったときにどの姿勢でも快適に乗れる姿勢というのを出せていなかった。
1つの姿勢、1つの状況下において最適なポジションを出すをただ頑張っていたのに近い。
それ以外にもフィッティングの中でフィッターの方にいろいろなことを教わった。
実際に出た結果よりも、この工程や考え方、施術方法などを学べたのが一番の収穫だ。
ペダリングと乗り方指導
出たポジションをどう、生かすべきか。
どうしたら自分の体に負荷を掛けずに効率的なペダリングができるかを教えてくれる。
これは人によって全く違うと思われるので、ここで身体アセスメントをとっていた効果も出てくる。
これは完全に目からうろこタイム。
今までの悩みが一気に解決していって面白いです。
私が指導していただいた乗り方をご紹介。
ブラケットを握った基本的な乗車姿勢
【今までの認識】
- 基本的にこのポジションで巡行してスピード出す
- サドルの座る位置はお尻が痛くなるので、定期的にいろんな場所にずらして座る
- 35キロとかで巡行するときは、足に力を入れて踏み込み、効率的なペダリングを意識する
- 踏み出しって力入れて加速するんでしょ
【RETUL FIT後の認識】
- このポジションはケイデンスを稼ぎやすいので、休んで85-95回転で軽く回す
- そもそも、お尻全然痛くならないので、サドルの一番後ろに座って常時固定ポジションに座れる
- スピード出したいときはエアロポジションになる、効率的なペダリングに勝手になってる
- 漕ぎ出し、軽くペダル回せば勢いよく加速するから力いらないですね。
- 今までの感覚で言う85で回すと自然と95でペダルが回るので面白い
- 今までは頑張って85だったんだけどな
ブラケットを握った状態でのエアロポジション
【今までの認識】
- いや、そもそもそんなもの知らなかった。
【RETUL FIT後の認識】
- エアロポジションなのに全然辛くない
- 大腿四頭筋の筋肉を全然使わず、体重がきれいにペダルにパワーとして伝わる感覚が面白い
- 踏み込む感覚ではなく、エアロポジションなのにペダルを回す感覚
- 今までエアロポジションといえば大腿四頭筋で思いっきり踏み込むイメージだった。
- 前がめっちゃ見やすい、今まですごく下向いてエアロポジションやってた、安全。
下ハンドルを持った時の姿勢
【今までの認識】
- 風が強いときに持つ様かな、呼吸しにくくなるし長い間はもてない
- プロ選手がラストスプリントに使うのかな、俺は使わないでしょ。
- お尻がいたくなっちゃうから、定期的に下ハンドルもってお尻の負荷減らそう。
- ダウンヒルの時怖いからお尻を後ろに突き出して、下ハンドル
【RETUL FIT後の認識】
- ブラケットを握った状態のエアロポジションから腕を伸ばすだけ
- 腕が疲れた時に背中の骨で支えられるようになるので快適
- 下ハンドルもっていても呼吸が非常に楽なので長時間下ハンドルで漕げる
- そもそもお尻痛くならないので関係ない。
- 目線も前に出しやすいので安全。
- サドルが後ろに下がっているので、かかとを下げるだけでダウンヒルが安定し恐怖感もなくなった
RETUL FIT後初のロングライドでどう変わったのか実証
RETUL FIT後初の150キロライドを行った。
RETUL FIT前は友人に半分引いてもらいながら150キロ走ってこのような状態であったが
- 120キロで膝の痛みが着て
- 140キロで足に力が入らなくなり
- 160キロで疲れ果てる
- 家に帰ってから階段上ると膝痛い。
今日一人で走ったところ膝の痛みもなく、最後までしっかり足に力が入り回った。
なおかつ家に帰ってから、普段明日でいいやと放り投げる自転車の清掃と部屋の掃除をし
今ブログの更新まで行っている、余裕をもって150キロを走れた。
膝の痛みの原因は速筋である「大腿四頭筋」だけで150キロのロングライドを行っていたことだと証明された。
実際フィッティングでハムストリングスをメインで使うポジションになったので、終盤ハムストリングスがかなり疲れたし、動かなくなってきていた。
しかし遅筋であり、筋肉も大きいので痛みや故障、怪我になることもなく無事感想できた。
完全に感覚値ではあるが
【大腿四頭筋】
- 30キロで燃料切れ
- 50キロで膝に違和感
- 120キロで膝に痛み
- 150キロで力が入らなくなる
【ハムストリングス】
- 70キロで少し疲れた感触
- 130キロで疲れたけど、少し休めば全然漕げる感触
- 150キロでもまだいけそうだ。。。
これくらいの差があるように感じた。
フィッターの方がこのように言っていたので、なるほど、モンスターって体にいいのかとか言う意味不明理論で補給しておいた。
「大腿四頭筋を動かすには糖分が必要になるので、モンスターなどの飲料が必要になるが コンビニによらないと手に入らないので極力大腿四頭筋は使わないほうが良い。」
実走行データで見るRETUL FIT前後の比較
実際にRETUL FITフィッティングを行う前と後で走行時にどのような変化があったかを数値データをもとに見ていきたいと思う。
Stravaのデータを元に比較
比較はStravaのデータを元に行う。 データソースも貼っておく。
両方ともフレームとホイールは同じだが フィッティング前のデータを計測した日は友人と2人で行っているので半分の区間は引いてもらっている。
RETUL FIT前の数値
友人と2人でライド、一部区間引いてもらっている。
RETUL FIT後の数値
完全ソロライド。
平均速度
RETUL FIT後データは以下の条件があるのにも関わらず0.1kmの上昇になっている。
- 獲得標高が100m近く高くなっている
- 引いてもらっている区間がない
0.2キロは正直誤差ではと個人的には思うが ロングライドだと0.1キロあげるのも大変なので一応記載しておいた。
平均ケイデンス
フィッティング前のケイデンスデータが取れていなかったので別のSTRAVAデータを利用
114キロのロングライドデータ、こちらも2人でライドしているので引いてもらっている条件は変わらない。
フィッティング前後で 71=>80と大幅にあがっている。
実際フィッティングを行ってから、自然と足が回る姿勢になっているので 以前の感覚でいうケイデンス85で回すと、95とGarminに表示されている感触がある。
数値データもそれを裏付けるように平均ケイデンスが10上昇している。
ケイデンスが上がることで、筋肉を極力使わず、体力を消費して進むことができる
筋肉を利用すると乳酸がたまり回復に時間がかかるが
体力は一定時間休み、補給を行うことで回復できるのでよりロングライド向きの走り方になっている。
平均速度が高い区域だけ切り取って比較
ロングライドだと回していない時間も多いので、より正確なデータ比較を行うために平均速度が高い区域を切り取って比較してみる。
平均速度はほぼ同じで 12キロ前後の距離を走行した平均データを利用
こちらは平均13回転上昇している。
ケイデンスを高く維持しようと意識した部分はあるが、自然と足が回っていた感触のほうが強い。
サドルを後ろに下げ、サドル高を上げたことによるペダルの回しやすさも確実に影響している。
まとめとしてはフィッティングは重要
今まで自分がネットの情報をかき集めて行ってきたフィッティングは基本的にすべて 部分最適。 目の前にある問題だけを解決するインターネット上の記事は役に立たないことが多いのだなと学びました。
極端な例を挙げれば
ウェブ上の記事「お尻が痛い場合は、すごくクッション性の高いサドルに変えて、前傾させましょう!」なんて書けばお尻の痛みだけ解消されて一時的にユーザーは満足した気になりますが。
ほかの問題が大放出されます。
- 剛性低下によるスピードの減少
- 手への負担向上
- 腕が突っ張ることで方への負担も上昇
- 前傾したサドルを支える腰への負荷上昇
全体最適を考えたうえで、ベストなポジションを出すのは非常に難易度が高く 体系的な知識が欲しいなと改めて思いました。
今回RETUL FITを受けて一番得られたものはフィッティングの奥深さと面白さでした。
後日送られてくるRETUL FITレポートの一部をご紹介。
数日後、フィッティングレポートがPDFにして16枚分届きましたので紹介したいと思います。 あくまで私のデータなのでこれを参考にフィッティングしても全く意味がないのでご注意ください。
【アセスメントレポート】
身体の特徴などが細かくポイントを抑えて記載されています。
自分が一般的な体型と比較してどのような特徴があるのか 今後パーツを購入する際にどのような点に気をつければ良いのかがわかるようになります。
※ここに記載しているのは全身の情報のうち一部です。
【バイクセッティング】
具体的にどのようなバイクセッティングを行ったかのレポートです。 Y'sの1000円フィッティングとサドル高が11mm違います。
また、この数値がどのように計測されてどのような意味があるのかについても付属資料に記載されているので 調べ甲斐があり、なおかつ再現性が担保されやすい状態になってます。
【乗車姿勢データ】
フィッティング後の乗車姿勢に関しても詳細に記録されます。 他の自転車購入時や普段使っているクロスバイクにポジションを適応する際に便利です。
実際に昨日、いつも使ってるクロスバイクにこの数値を適応したところ 完全にロードバイクの乗り心地になりました。
こちらの定義に関しても付属資料にて解説されているので、そちらで調べることが可能です。
【膝の軌跡データ】
縦型に照射するレーザーポインターを買って今まで頑張って調整していましたが デジタルデータ化すると見やすくて良いですね。
膝の痛みに繋がる膝の左右の動き。 こちらもデータで可視化し、ブレがないように調整されます。
めちゃくちゃ綺麗に軌跡が描けていますね。
【測定の定義】
測定されたデータがどのように計測されたのか。 どこを基準としてその長さなのかが記載された定義書もあるので。
後日自分でポジションを再現することが可能です。
素晴らしいですね。